海外デジタル政策ログ

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【英国】国家統計局、政府データの活用度を効果的に測る取組を推進

英国政府の「政府データ品質ハブ」(DQHub;Data Quality Hub)が、政府データの活用度を効果的に測る取組に関する記事を公開していますね。

政府データ品質ハブは国家統計局の中の一組織で、公共部門全体のデータ管理を向上させるために、以下の活動を行っているようです。

  • データ品質に関する政府全体への戦略的方向性の提供
  • ガイダンスの作成と公表
  • 公共部門に特化したトレーニングやサポートの提供

本記事は、この組織が、「政府におけるデータの活用度を効果的に測るためのモデル」を作る道程を解説した記事のようです。個人的に、読み物としてとても面白かったです。

(一部和訳)

過去2年間、国家統計局の政府データ品質ハブは、政府に特化したデータ成熟度モデル(DMM)を設計、構築、テストすることに取り組んできました。この作業は、国家データ戦略のミッション3をサポートし、より良い公共サービスのために政府のデータ活用を変革することを支援します。自組織におけるデータ利活用の成熟度を理解することで、データの課題・機会をより精密に特定し、効果的に目標とする改善を計画することができます。

本プロジェクトでは、政府横断的なWGと公共部門全体のデータ専門家を活用し、政府全体で使用できるモデルを作成しました。また将来を見据え、本モデルを政府全組織へ展開する役割を担うCDDOとも密接に連携しました。

この記事ではデータ品質ハブがどのように政府データ成熟度モデルを開発したか、背景調査からモデルの構築、政府全体での試験運用まで簡単に概観します。また、パイロット版から得られた知見と政府データ成熟度モデルの次の展開についても簡単に説明します。

  • データ成熟度モデルとは
    データ成熟度モデルは、組織が保有するデータを最大限に活用するための準備がどの程度整っているかを測定するための構造化手法です。このモデルは、自組織の強みを特定することでデータから得られる価値を向上させることができる領域を特定するのに役立ちます。政府におけるデータ成熟度モデルは、現在の成熟度の評価、改善のための目標の特定、目標達成方法の計画を通じて、組織をサポートするためのツールとなります。
  • モデル作成にあたって
    データ成熟度を評価するための参考情報はとても多いです。私たちは公共、民間、サードセクターにおける既存の成熟度モデルを調査することから作業を開始しました。技術的なデータ管理に焦点を当てたモデルもあれば、組織文化やビジネスリーダーの関与を調査するような、より人に焦点を当てたモデルもあります。また、データの特定の分野を深く掘り下げるものもあれば、データの管理と使用に関する広範な組織的見解を検討するものもあります。

    私たちの目標は、データの価値を引き出すための政府組織の準備態勢を効果的に評価できるデータ成熟度モデルを作成することでした。国家データ戦略で特定された課題とアクションに沿って、優れたデータ管理の文化的、戦略的、技術的側面を扱うモデルである必要がありました。また政府の全分野におけるデータの改善をサポート可能な単一モデルである必要がありました。よって、モデルは次の要素を含む必要がありました:

    • 幅広い、徹底的、アプローチしやすい、公共部門に関連するもの、ハイレベルで成果に焦点を当てたもの、戦略的なリーダーに伝わりやすい

これを踏まえ、私たちはData Orchard社のData Maturity Frameworkを採用してモデルを作成することにしました。同社のフレームワークは現代的で、また技術的なデータ管理だけでなく、文化やリーダーシップの観点も含む、対応分野が幅広いです。ユーザビリティも高く、複雑な構造のデータが示す情報について一般市民に伝えることをサポートするように設計されています。またこのフレームワークは、地方自治体や中央政府などの公共セクターにおいて既に使用実績がありました。ただ、このフレームワークも、私たちが求める全ての要素を満たしている訳ではありませんでした。

 

~中略~

 

最終的なモデルは、データ管理に関する10の中核的なトピックを軸に、文化、スキル、ツール、リーダーシップ等の観点を横断してデータの成熟度を評価できるものとなりました。成熟度は「入門」レベルから「マスター」レベルまで、様々なレベルによって測定されます。

試行に参加した組織は、データ成熟度モデルに照らして自らを評価し成熟度スコアを作成するために、様々なアプローチを試みました。評価のアプローチに柔軟性を持たせることは、非常に重要であることが証明されました。

  • 調査結果
    モデルの有用性が証明されました。特に、データ成熟度の評価を完全に行うことは未だ難しいが、データの有用性の理解促進や強みの発見、弱み改善に向けた領域を特定する手段の提供においてとても有用であることが分かりました。
  • 次のステップは
    データ品質ハブは役割を終え、モデルをCDDOに引き継ぎました。現在、モデルに関するガバナンスを確定し、データ成熟度の評価作業を実際の政府データ等と連携させる作業が進められています。

 

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