主に2024/6/20~9/1に目を付けた海外デジタル政策をまとめました。
目次
EU
デジタル10年の現状に関する第2回報告書を発表
- 2024/7/2 Second report on the State of the Digital Decade calls for strengthened collective action to propel the EU's digital transformation
- 本報告書は、EUが2030年に向けて策定した「ヨーロッパのデジタルの10年」の、取り組みの進捗を示したもの。
- 分析によると、現状は目標に達していない。今後、特にデジタルスキル、高品質の接続性、企業のさらなるAI・データ分析の導入、半導体、スタートアップエコシステムの分野において、EUレベルと加盟国レベルの両方で追加投資が必要。
- この後、加盟国は、2024年12月2日までに自国のロードマップを見直し、調整する。
EU AI法発効
- 2024/7/2 European Artificial Intelligence Act comes into force
- 内容については、専門家による解説サイトが多々あるため省略
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今後、AI法の規則の大部分は、2026年8月2日から適用が開始される。ただし、許容できないリスクをもたらすAIの規制は6か月後に適用され、いわゆる汎用AIモデルの規則は12か月後に適用される。
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完全実施までの移行期間を埋めるためAI 協定が立ち上げられ、AI 開発者に対し、法的期限に先立って AI 法の主要義務を自主的に採用するよう呼びかけられている。また、AI法の実施方法を定義・詳細化するガイドラインを策定し、基準や行動規範などの共同規制手段を促進している。
デンマーク
デジタル化庁がAIの活用に関する専用サイトを立ち上げ
- 2024/8/29 Bliv klogere på kunstig intelligens
- AIの概要や基本的な使用方法、政策、ガイドライン、政府での活用事例などを、公共関係者および一般市民向けにまとめたサイトを公開。
米国
国防総省がIT推進戦略(Fulcrum)を発表
- 2024/6/25 DoD Releases the Fulcrum: DoD Information Technology (IT) Advancement Strategy
- 4つの柱に跨って構成されている。(1)機能的なユーザ中心のIT機能の提供と、戦闘員の利用情報の改善、(2)ゼロトラストを採用した、高速ネットワークの提供、(3)ITガバナンスの最適化、(4)優れたデジタルワークフォースの育成
政府がAIに関する大統領令で定められた270日間の措置をすべて完了
豪
政府におけるAIの責任ある利用に関する政策を公表
- 2024/9/1 Policy for the responsible use of AI in government
- enable、engage、evolveの3つの主要原則に基づき推進される。enableでは、AIの導入に関する説明責任を果たし、政府サービスでのAI活用を安全に進める要件を提供する。engageでは、AIの透明性を保証したうえで、国民をリスクから守ることに責任を持つ。evolveでは、技術進歩に対応する柔軟性を確保する。
中国
国家AI産業総合標準化システム構築ガイドライン(2024年版)発行
- 2024/7/3 四部门关于印发国家人工智能产业综合标准化体系建设指南(2024版)的通知
- ジェトロの解説では、「2026年までに国家標準・業界標準を50項目以上制定し、産業の質の高い発展をリードする標準システムの形成を加速させるとしている。さらに、1,000社以上の企業に同標準を広報・普及し、20項目以上の関連国際標準の制定に参与するとしている。」とのこと。
アフリカ連合
大陸AI戦略とアフリカデジタルコンパクトを採択
- 2024/6/17 African Ministers Adopt Landmark Continental Artificial Intelligence Strategy, African Digital Compact to drive Africa’s Development and Inclusive Growth
- 大陸AI戦略は、アフリカがAIの恩恵を受けるための主要な優先事項と行動を特定し、アフリカ主導、人間中心、開発志向、包括的なアプローチを呼びかけ、インフラ、人材、データセット、イノベーション、パートナーシップにおけるアフリカ諸国のAI能力加速と、脅威に対する適切な保護・防御の確保を目指すもの。
- 本取り組みは、アフリカ連合のデジタル変革戦略(2020〜2030年)とアジェンダ2063に基づいている。
OECD
AIの発展に伴うプライバシーのリスクに関する論文を公表
- 2024/6/26 AI, data governance and privacy - Synergies and areas of international co-operation -
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OECDのプライバシーガイドラインで定められた原則を OECD AI 原則にマッピングのうえで、国家および地域の取り組みを評価し、協力の可能性のある分野を提案している。国際協力の提唱により、プライバシーを尊重しサポートするAIの開発を導くことを目指す。
政府のSTI政策の評価に役立つフレームワークを公開
- 2024/7/10 Programme de l’OCDE en faveur de politiques STI porteuses de transformations
- STI政策の方向性についても提案し、変革を加速する STI 改革を策定し実施する枠組みを政策立案者に提供する。
GPAI
GPAI閣僚理事会第6回会議開催
- 2024/7/3 6th meeting of the GPAI Ministerial Council held on 3rd July 2024 at New Delhi
- AIに関するGPAIの将来ビジョンについて合意。広島AIプロセス、欧州評議会、2023年ブレッチリー・パークAI安全サミット、2024年AIソウルサミット、そして2025年フランスAIアクションサミットを含むG20やG7などの他の国際フォーラムで立ち上げられたAIイニシアチブとの相乗効果を促進する上で、統合されたパートナーシップと国際協力が果たす重要な役割を考慮することを確認。
世界経済フォーラム
スマートコントラクトの台頭とサイバーおよび法的リスクを軽減する戦略に関する記事を掲載
- 2024/7/16 The rise of smart contracts and strategies for mitigating cyber and legal risks
- スマート コントラクト (ブロックチェーンに埋め込まれた自動実行契約)は、人間の介入なしにシームレスに実行できることを約束する。しかし、本技術の導入には、重大な技術的、法的、サイバーセキュリティ関連のリスクが伴う。これらのリスクに対処し、スマート コントラクトのセキュリティと信頼性を強化するには、多面的なアプローチを採用することが不可欠である理由を説明する。