主に2024/2/25~3/16で目を付けた海外デジタル政策をまとめました。
目次
EC
欧州議会、AI法を承認
- European Parliament(欧州議会)
- 2024/3/13 Artificial Intelligence Act: MEPs adopt landmark law
- 本法律については他サイトで多くの専門家の方が解説されていますが、本プレスにてポイントは4点示されています。「汎用AIの保護措置」「法執行機関による生体認証システムの使用制限」「ユーザの脆弱性の悪用のために使われるソーシャルスコアリングの禁止」「ユーザがAIの使用に関し説明を受ける権利」
英国
量子イノベーション促進に向けた規制枠組みの構築を提案
- Department for Science, Innovation & Technology(DSIT;科学技術イノベーション庁)
- 2024/2/28 press New report outlines how pro-innovation regulation could unleash quantum’s potential for UK economy
- Regulatory Horizons Council: Regulating Quantum Technology Applications
- Regulatory Horizons Council(RHC)は、革新的技術の迅速・安全な導入に必要な規制改革を政府に助言する、独立した専門委員会です。
- 本提案は、量子技術の倫理的利用を支援しつつ、英国の国家安全保障の保護に向けた規制枠組みの構築を示すものです。「規制の枠組みとガバナンス」、「標準と国際協力」、「イノベーション資金調達と市場開発」という3つのカテゴリで14の推奨事項が概説されています。
- さらに2023年に公表された国家量子戦略を踏まえ、2024年からの10年間で英国の量子開発に25億ポンドの投入を約束しています。
オープンデータ標準の採用を促進する3か年計画を公表
- Department for Levelling Up, Housing and Communities(DLUHC;レベルアップ・ハウジング・コミュニティ局)
- 2024/3/6 blog Driving adoption of Open Referral UK to deliver millions in annual savings for councils
- 現在、英国の自治体では、サービスによってデータの保有方法が異なり、住民が適切な情報にアクセスしにくいという課題があります。今回、4つの協議会が協力し、データを保持するディレクトリが相互通信できるようにデータを編成する「Open Referral データ標準」を定義しました。本標準により、リアルタイムのデータ共有が可能になり、職員の業務効率化のみならず、市民サービスの効率化も期待されます。すでに13組織が導入済み、8組織が導入中、8組織が導入検討中です。
- 今後3年間にわたり、議会とサプライヤに、本標準の利用を促進していくということです。
2024年春予算にて、科学技術部門強化に向けたパッケージを公表
- Department for Science, Innovation & Technology(DSIT;科学技術イノベーション庁)
- 2024/3/7 press Spring Budget puts UK on fast-track to becoming science and technology superpower
- 以下のようなものが挙げられています。
- 医療:ライフサイエンス分野、医学研究者のキャリア資金補助
- AI:アラン・チューリング研究所の資金増強、主に中小企業向けのAIスキルアップファンド発足など。また本年後半にも、公共AIコンピューティング施設に対する政府の管理計画を公表予定
- データ:データパイロットへの資金提供、データリサーチクラウドプロジェクト
- 宇宙:地球低軌道接続 ( C-LEO ) の発売、量子技術への投資
宇宙産業計画を公表
- Department for Science, Innovation & Technology(DSIT;科学技術イノベーション庁)・Ministry of Defence(国防省)
- 2024/3/7 policy paper Space Industrial Plan
- 本計画は、宇宙分野の官民連携を強化し、レジリエントな宇宙開発に向けたビジョンの確立に向けたものです。関連企業のエコシステム育成、イノベーション推進、競争確保などを目的としています。
- 宇宙分野において英国が世界でリーダーシップをとるため、5領域(軌道整備、製造、宇宙データ、位置・ナビゲーション、衛星通信技術)において能力目標を定めています。
デンマーク
デジタルインクルージョンの6原則を公開
- Agency for Digital Government(デジタル化庁)
- 2024/2/28 news Nye principper skal hjælpe med inkluderende digitalisering
- デンマーク政府はデジタルインクルージョンの6原則を公開し、行政デジタル化と公共サービスの方向性が、すべての国民を考慮したものでなければならないと強調しました。
- 原則を意訳すると次の通りです。
- 1.デジタル化に関する決定は、すべての国民の権利を支援する
- 2.市民の関わるデジタルソリューションは、市民の包括的な関与のもと開発される
- 3.誰もが理解できるようコミュニケーションする
- 4.市民はガイダンスに簡単にアクセスできる
- 5.支援者を支援する
- 6.デジタルの代替手段を利用可能にする
公共サービスのユーザ満足度調査結果を公開
- Agency for Digital Government(デジタル化庁)
- 2024/3/5 news Ny måling viser høj tilfredshed med blandt andet Digital Post, MitID og borger.dk
- 国民向け5サービス、法人向け2サービスについて、政府として初めてのユーザ調査を実施しました。
- 対象サービス:Digital Post、MitID、Borger.dk、Sundhedskort-app、Kørekort-app、Digital Post til virksomheder、MitID Erhverv
- 調査項目は、満足度、信頼性、セキュリティ、使用感、使いやすさ、サポートの必要性などです。
- 国民向けサービスは5つすべてにおいて「満足」が70%以上、「不満」が7%未満でした。一方で、Digital Post til virksomheder(企業向けデジタルメール)は「満足」が53%でした。
米国
AI活用も踏まえた、行政職員の人事戦略を示したハンドブックを公開
- U.S.Office of Personnel Management(OPM;米国人事管理局)
- 2024/2/23 news RELEASE: New OPM Workforce of the Future Playbook Prioritizes a Skilled, Inclusive, and Agile and Engaged Federal Workforce
- 本ガイドブックでは、行政のあるべき状態として「包括的」「アジャイルで積極的」「適切なスキルの備え」の3つを掲げています。そのうえで、この実現に向け取り組むべき12の優先分野を明示し、各分野についてベストプラクティスや使用可能なリソース、行動喚起などを記載しています。
- 採用プロセスの効率やパフォーマンス向上のための生成AI活用など、行政の人事プロセスへのAI活用も概説しています。
NISTがサイバーセキュリティフレームワーク(CSF)のバージョン 2.0 をリリース
- NIST(米国国立標準技術研究所)
- 2024/2/26 news NIST Releases Version 2.0 of Landmark Cybersecurity Framework
- Cybersecurity Framework
- CSFは、組織がサイバーセキュリティリスクを理解・軽減・伝達できるようにするため、2014年に初めてリリースされたものです。このたび、国家サイバーセキュリティ戦略(2023年3月策定)の実施をサポートするため、第2版が公開されました。
- 第1版の対象が重要インフラ関係の組織(病院や発電所など)のみだったところ、第2版ではすべての組織へスコープが広げられています。また中核となるガイダンスへ新たにガバナンス要素が加えられ、組織がサイバーセキュリティ戦略を踏まえた意思決定の実施方法についても焦点が当てられています。この中では、組織のリーダー層が考慮すべきリスクとしてサイバーセキュリティも重要と強調されています。
- さらに、より幅広いユーザに役立つリソースとするため、さまざまなタイプのユーザ別の先行事例を示したレビューやクイックスタートガイドなどの新たなリソースも併せて公開しています。
NISTがNFTのセキュリティに関するレポートを公開
- NIST(米国国立標準技術研究所)
- 2024/3/1 news Non-Fungible Token (NFT) Security: NIST IR 8472 is Now Available
- NIST IR 8472 Non-Fungible Token Security
- 2023年8月末に草案を出していたレポートの最終版が公開されました。本レポートは、NFTの潜在的なセキュリティ上の懸念対処および購入者のリスク軽減を目的としたものです。
- NFTの定義、正しく機能しかつ安全なNFTが有する要素、各要素が有する潜在的なセキュリティ上の懸念事項から構成されています。
OECD
well-beingの測定に関する報告書を公開
- 2024/3/1 Measuring subjective well-being across OECD countries
- OECDが「Well-beingの測定に関するガイドライン」発表後10年間で、国のさまざまな枠組みにWell-beingの指標が組み込まれるケースが増えてきました。そこで本報告書では、関連する学術研究や事例も踏まえ、今後OECDがwell-beingの測定方法向上に向け取り組むべき優先事項を特定します。
- 本調査結果から、すでに一部の国では政策設計と実施のためにWell-beingの測定結果を使用していることが明らかになりました。また82%の国では、少なくとも年に一度、生活満足度に関するデータを収集しています。ただし、悦楽的幸福*に関するデータの収集と手段の標準化は進んでいません。
- *udaimonicの直訳で、努力や苦労から培われる意義的幸福を示しているようです
AIの定義に関する説明覚書を公開
- 2024/3/5 Explanatory memorandum on the updated OECD definition of an AI system
- OECD AI原則(2019年)におけるAIの定義について、改訂版を加盟国が承認しました(2023年11月)。
AI システムは、明示的または暗黙的な目的のために、受け取った入力から、物理環境または仮想環境に影響を与える可能性のある予測、コンテンツ、推奨、意思決定などの出力を生成する方法を推測するマシンベースのシステムです。AI システムが異なれば、導入後の自律性と適応性のレベルも異なります。(Google翻訳による直訳)
G7
デジタル大臣会合開催、AI導入加速と半導体の供給網確保で協力
- 2024/3/15 press G7 nations to harness AI and innovation to drive growth and productivity
- Notice
G7 Ministerial Declaration: deployment of AI and innovation - GOV.UK
- ポイントは次の3つのようです。
- またDFFTについても、現在OECDで取り決められたIAPを歓迎するとともに、G7としても今後もDFFT推進に向け支援していくとしています。