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【OECD】デジタル政府指数2023、韓国が首位 日本は31位

OECDが1月末にデジタル政府指数2023(OECD Digital Government Index;DGI)を公表しました。

  • デジタル政府指数は、OECDのデジタルガバメント政策フレームワークに則って、各国のデジタルガバメントに対する取り組みの進捗状況を6指標・4段階から評価したもの。
  • 上位は順に韓国、デンマーク、イギリス。日本は2019年の前回調査の5位から大きく下げた31位。

 

OECDデジタル政府指数2023 表紙

 

デジタル政府指数とは

OECDのデジタルガバメント政策フレームワークに則って、各国のデジタルガバメントの進捗状況を6指標・4段階から評価したものです。対象は33 のmember国、4のaccession国、1のパートナー国としています。

 

デジタル政府指数2023の6指標

下記の通りです。

OECD 2023 デジタル政府指数 評価軸

  1. デジタル・バイ・デザイン
    • 政策の策定・公共サービスの変革の際に、ツールとデータを一貫して活用できる施策の取り組み状況
  2. データ駆動型
    • 政府全体でのデータへのアクセス、共有、再利用に必要なガバナンスとイネーブラーの進捗状況
  3. プラットフォームとしての政府
    • ガイドライン、ツール、データ、デジタルID、ソフトウェアなど、政府全体で一貫した変革推進のためのに必要な共通の構成要素の導入状況
  4. デフォルトでオープン
    • さまざまなステークホルダーと関係するための技術とデータの使用を促進する取り組みなど、オープン性の進捗状況
  5. ユーザー主導
    • ユーザーのニーズを公共政策とサービスの設計・提供の中核に据えられているか
  6. 積極性
    • ユーザーとサービスプロバイダのニーズを予測し、政府サービスを積極的に提供できているか

 

デジタル政府指数2023の4段階

上記6つの各指標が、政策サイクルのどの段階に位置しているかを示しています。具体的には以下の通りで、戦略面と運用面の両方に焦点を当てているのが特徴です。

  1. 戦略アプローチ:デジタルガバメントの包括的な戦略、政策枠組み
  2. 政策の活用:戦略的アプローチの実装を可能にするリソースとツール
  3. 実行:戦略的アプローチを具体的な行動に移すための実践
  4. モニタリング:進捗状況を追跡・評価するためのリソースとツール。

 

総合結果

首位は韓国、2位はデンマーク、3位はイギリスでした。日本は前回調査の5位から大きく下げた31位でした。

デジタル政府指数2023 総合結果

 

Key Findings一部和訳

概要
  • 上位国は、強力なデジタル基盤確保のための包括的なアプローチを進めており、6指標のすべてでバランスよくパフォーマンスが良い。
  • 6指標のうち、「デジタルバイデザイン」、「データ駆動型」、「プラットフォームとしての政府」の側面で平均スコアが高い。この結果は、デジタル公共インフラ(デジタルID、データ共有、アプリなど)の展開など、コロナパンデミックに対応した政府基盤強化への取り組みを反映している。
  • 6指標おのおのの進捗状況を見ると、「戦略的アプローチ」では良い結果が達成されている。対照的に、「モニタリング」は最も低くなっていることから、今後は政策の効果的な実施に重点を置く必要性が示唆される。
詳細
  • 全体的に、デジタル・ガバメントのガバナンス強化が進んだ。しかし、より大きな効果をもたらすために、ガバナンスの権限と監視の仕組みを強化する必要がある
  • データ・ガバナンスの推進はほとんどの国にとって最優先事項となっている。 「データ駆動性」の結果によると、約3分の2の国が、リーダーシップの役割、ガバナンスの取り決め、データに関する戦略的手段を導入している。
  • 各国は、公共部門におけるデータアクセスと共有強化に優先して取り組むべきである。中央/連邦および準政府レベル全体で効果的に相互運用性システムを利用しているのは、公共部門機関の半数をわずかに超える程度。
  • 堅牢なデジタル公共インフラを確立するには、各国によるさらなる努力が必要である。
  • 公共サービスにアクセスするためのデジタルIDソリューションはほとんどの国で利用可能だが、部門を超えた使用を可能にするためには、とくにガバナンス体制の面からさらなる措置が必要である。
  • 全体的に、デジタルガバメントへの投資と支出を効率的に管理するための包括的なガバナンスがあまり整っていない。「プラットフォーム」の調査結果では、包括的な投資枠組みを整備しているのは加盟国のわずか15%であり、デジタル投資の統合的かつ戦略的な管理がいまだ行われていないことが示唆された。
  • 「デフォルトでオープン」の結果から、政府がデジタル技術の使用やデータのオープン性促進のためのツールを優先していないことが示唆された。たとえば、公的機関がアルゴリズムを使用する理由と方法を説明するのを支援する政策手段を持っている国は、現在わずか15.8%。
  • 「ユーザー主導」アプローチ導入のためには、ソフト・ハードの両面から政策を強化する必要があることが示唆された。 サービスの共同設計に国民と企業を関与させる具体的な取り組みを持っている国は50%未満。さらに、政府サイトにユーザテストを義務付けている国はわずか29%。
  • ほとんどの国はデジタル格差の削減に強く取り組んでいる。90%以上が行動計画を実施しており、うち80%は行動計画の実施を支援するための法規制の枠組み、資金調達の仕組みも整備している。
  • 各国は、政府におけるAI使用に向けた戦略的アプローチの確立、AIの責任ある倫理的な展開に向けたの拘束力のない手段の導入において、かなりの進歩を遂げてきた。 ただし、「積極性」の結果から、AIのより有効な活用、実装の取り組みと関連する政策ツールのより適切な調整により、政府の効率、有効性、対応力の向上につながる可能性を示唆している。
  • より効果的なデータの活用により、ユーザのニーズ予測や積極的な行政サービス提供につながる。現在の達成度は中程度。
新たな政策分野
  • 一部の国ではAIの活用能力向上のためにさまざまな取り組みを行っている一方で、ほとんどの国ではAI導入自体が依然として課題。66%の国が内部プロセスの強化にAIを使用しているが、政策の改善にAIを使用しているのは32%のみ。
  • グリーントランジションとデジタルガバメントの連携は、ほとんどの政府にとって新たな優先事項となっている。さまざまな結果から、政府はグリーントランジションへの貢献のためのデジタル・ガバメントの必要性を認識しているものの、関連する政策を実践する国は限られており、NDGSなどの既存の戦略的手段と完全に連携していないことが示唆された。

 

前回調査が2019年だったことから、今回の調査はコロナ禍でのデジタル化の状況が大きく反映されているようですね。日本含め各国の個別の考察は記述がありませんでしたが、パッと視覚的に見る限りだと、日本はどの指標もOECD平均より少し低いように見えました。

 

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