時間が空きましたが、できる範囲で頭の整理をしていきたいと思います。まず、主に2023年12月後半~1/31で目を付けたものを、簡単ですがまとめてみました。この中からまた個別で掘り下げていきます。。。
EC
2023 年のオープンデータ成熟度レポートリリース
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2023/12/14 press
- Open Data in Europe 2023
- 本レポートは、EU全体におけるオープンデータの成熟度を測定するもので、オープンデータの公開と再利用を推進するEU加盟国が達成した進捗状況などを記録しています。今回が第9回めの報告書となります。本レポートの位置づけや調査指標、昨年の結果については、こちらで述べています。
- 昨年度からの進捗として、EU加盟国はオープンデータの平均成熟度が79%から83%に上がり、スロバキアとラトビアのパフォーマンスが際立っているとのことです。EFTA加盟国の中でアイスランドが最も急激な進歩を遂げている一方、候補国の中で総合スコアが前年比で最も大幅に上昇したのはモンテネグロでした。
欧州データ法発効
- 2024/1/11 press
- 本法律は、データ利用の促進を目的とした欧州データ戦略の一環として提案され、主にIoT製品の利用により生成されるデータに、製品の利用者および第三者企業がアクセス可能となるもののようです。
- 他サイトで詳細に解説されているので、いったんここでは割愛します。PwCさんによる解説はこちら。
デンマーク
サイバーセキュリティ調整センター(NCC)設立
- NCC
- 2024/1/11 press
- 本センターはEUからの共同出資を受け、デジタルガバメント庁と企業庁の配下に設立されたようです。
- 設立目的は、デンマークのサイバーセキュリティ部門強化、欧州委員会からの資金調達力増強、ソリューションの開発の支援です。
英国
生成AIに関する公務員向けのガイダンスを公表
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CDDO(中央デジタル・データ・オフィス)
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2024/1/18 press
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本ガイダンスの目的は、行政職員が生成AIを安全に使用することです。10の共通原則を定義したうえで、原則に則り生成AIを使用したソリューション構築時に実行すべき手順、法的考慮事項などを概説しています。
生成AIに関する公務員向けのオンライン学習コースを開始
- CDDO(中央デジタル・データ・オフィス)
- 2024/1/19 blog
- 本学習コースは、1つ上で紹介したガイダンスに伴うものです。大手テクノロジー企業やサプライヤと協力して作成したもので、公務員は無料で受講できます。
- CDDOの調査から明らかになった、ニーズの高い分野(生成AIの概要、リスクと倫理、ツールとアプリケーション、プロンプトエンジニアリング、戦略とガバナンス、技術カリキュラムなど30超)をカバーしています。
高度なAIの安全性に関し検討する専門家諮問委員会の立ち上げを公表
- DSIT(科学技術イノベーション庁)
- 2024/2/1 press
- International Scientific Report on Advanced AI Safety: expert advisory panel and principles and procedures
- 英国、米国、中国、フランス、韓国、その他のAI先進国の専門知識を集めた専門家諮問委員会を立ち上げました。日本からはソニーCTOの北野氏が選出されています。2023年11月に英国で初回実施されたAIサミットでは、サミットに先立ち「科学現状報告書」が発表されましたが、韓国で次回開催される同サミットに向けて報告書を最新化していくことがミッションです。(「高度なAIの安全性に関する国際科学報告書」と改名するようです。)
米国
米国リハビリテーション法 第508条の管理強化に向けたデジタルアクセシビリティガイダンスを公表
- OMB(行政管理予算局)
- 2023/12/21 press
- M-24-08 Strengthening Digital Accessibility and the Management of Section 508 of the Rehabilitation Act
- 本ガイダンス発出の目的は、すべての米国市民が行政サービスを平等に使えるようにすることです。行政機関(の主に首長)に向け、電子コンテンツの公開前テストによるアクセシビリティ要件充足の確認、Webサイトの定期的評価などの取り組みを指示しています。
- 米国では、行政サービスのアクセシビリティ改善のためにこれまで数回(2007年、2010年、2013年)覚書を発出してきていますが、今回はその最新版のようです。
AIに関する大統領令で課された90日間の行動の終了、および次の段階への移行を公表
- 2024/1/18 Fact Sheet: Biden-Harris Administration Announces Key AI Actions Following President Biden’s Landmark Executive Order
- (前提)米国政府では、2023/10/30に「安全・安心・信頼できるAIの開発と利用に関する大統領令」を発出しています。本大統領令は、AIの安全性評価、公平性と公民権の推進、労働者の保護、イノベーションと競争の推進等に関する具体的な取り組みを規定するものです。
- 上記大統領令で課された90日間の行動が終了したこと、また次に重要度の高い長期間の取り組みが開始したことを今回公表しました。本記事上ではリスク管理、AIの技術力強化に向け実施した取り組みが抜粋されていますが、詳細はai.govを参照とのことです。
豪
データ・デジタル戦略を公表
- DTA(デジタル変革局)
- 2023/12/15 press
- Data and Digital Government Strategy
- 2030年までの実行計画とともに公表しました。本戦略の目的は、政府の保有データとデジタル機能の価値の最大化です。
- 豪市民と同国企業へのシンプルかつ安全・シームレスな公共サービスの提供というビジョン、またその実現に向け「データとデジタルの基盤」など5つのミッションを掲げています。
豪国における安全かつ責任あるAIの発展に向けたディスカッションペーパーを公開
- Department of Industry, Science and Resources(産業・イノベーション・科学省)
- 2024/1/17 press
- Supporting responsible AI: discussion paper
- 政府は、豪におけるAIの安全な開発・使用を保証するガバナンスの構築について市民、有識者、企業とともに協議を進め、案としてとりまとめました。本ペーパーは、パブコメを踏まえた報告書として、政府の暫定対応を示したものです。
- 安全かつ責任あるAIの構築に向けた政府の長期的な取り組みについても説明されています。
シンガポール
国家AI戦略2.0 (NAIS 2.0)公表
- Smart Nation and Digital Government Office (SNDGO)
- 2024/12/4 press
- National AI Strategy
- NAIS(2019年策定)からの変更点は、AIを潜在性の高い技術から必要不可欠な技術へ新たに捉え直したことなどです。「人材とコミュニティ」など3つを柱として、15の目標を明示しています。
OECD
「公共部門におけるイノベーション測定の現状と展望」公表
- OECD Working Papers on Public Governance
- 2023/12/15 The state of play and prospects for measuring innovation in the public sector
- 本ペーパーでは、公共分野における「イノベーションの測定」が難しい現状を受け、さまざまなイノベーションユースケースに対し、OECDとしての測定フレームワークを提案しています。
「オープン・有用・再利用可能なデータ (OURdata) 指標2023」公表
- OECD Working Papers on Public Governance
- 2023/12/22 2023 OECD Open, Useful and Re-usable data (OURdata) Index
- 各国政府によるオープンデータ政策と取り組みを、3つの柱(データの利用可能性、アクセシビリティ、データ再利用への支援)からベンチマークしたものです。
- 最もパフォーマンスの良い国は順に、韓国、フランス、ポーランド、エストニア、スペイン、アイルランド、スロベニア、デンマーク、スウェーデン、リトアニアでした。日本は25位でした。
デジタル政府指標2023公表
- OECD Working Papers on Public Governance
- 2024/1/30 2023 OECD Digital Government Index
- 本調査は、各国のデジタルガバメントに対する取り組みの進捗を、OECDデジタルガバメント政策フレームワークに則って6指標(①デジタル・バイ・デザイン、②データ駆動型、③プラットフォームとしての政府、④デフォルトでオープン、⑤ユーザー主導、⑥積極性)を、4段階(戦略アプローチ、政策手段、実行、モニタリング)から評価したものです。
- 上位は順に韓国、デンマーク、イギリス、ノルウェー、オーストラリア、エストニア、コロンビア、アイルランド、フランス、カナダです。日本は31位でした。
Partnership on AI(PAI)
責任あるAIに向けたPAIの4つの推奨事項をまとめたブログ記事公表
- 2023/12/20 Responsible AI Recommendations: Top Four PAI Resources of 2023
- 推奨事項は「合成メディアの責任ある開発・導入・シェア」、「基礎モデルの安全な導入」、「労働者が真に役立つ AI の開発と導入」、「報道機関による責任ある AI の導入」としています。
世界経済フォーラム
レポート「2024 年の世界的なサイバーセキュリティの見通し」公表
- 2024/1/11 Global Cybersecurity Outlook 2024
- 2024年の世界経済と社会に影響を与えるサイバーセキュリティのトレンドを調査したものです。
- 本レポートでは、2024年に経営層が直面する課題として「サイバーレジリエントな組織とそうでない組織との不平等性の拡大」、「新興技術の台頭によるサイバーレジリエンス課題の悪化」、「人材不足」など5つを指摘するとともに、各課題について掘り下げています。
AIガバナンスアライアンスが公平なAI戦略に関する最初のレポートを発表
- AI Governance Alliance(AIGA)
- 2024/1/18 press
- AI Governance Alliance: Briefing Paper Series
- AIガバナンスアライアンスは、世界経済フォーラムが2023/6/15に発足した組織です。3つのコアWG(①安全なシステムと技術、②責任あるアプリケーションと変革、③レジリエントなガバナンスと規制)により構成されています。
- 本レポートは、各WGのこれまでの検討結果を3部作としてとりまとめたものです。introを読むと、とりまとめにIBMが入っているようです。